2010年4月25日日曜日

ミラノサローネ-カスティリオーニのスタジオ編

2010年4月13日
僕がミラノに着いたのは、前日である12日の夜8時ごろ。というわけで、13日が実質的に初日です。13日は、作品を出展する会場のセットアップをし、カスティリオーニのスタジオを見学し、リチャード・サッパーとランチをともにし、…とかなり濃い一日でした。そんな濃い一日の中で、最も印象に残ったのは、カスティリオーニのスタジオを見学したことです。カスティリオーニのスタジオはトリエンナーレ美術館という、工業デザインの美術館の中の一つの施設という位置づけでした。何の前置きもなくカスティリオーニという単語を使いましたが、カスティリオーニとは、イタリアの工業デザイナーです。
カスティリオーニについては日本人の多木陽介さんが、スタジオに通い詰め、関係者に話を聞き、一冊の本にまとめられています。スタジオを説明してくれるおばさんに、日本人であることを話すと、多木さんのことを話してくれました。正直なところ、本は少ししか読んでいませんでしたが、前提となる知識がなくても、かなり楽しめました。
まずは、横6m縦2mくらいの本棚のある部屋に通されました。部屋に足を踏み入れた瞬間、壁一面に敷き詰められた蔵書の量に圧倒されたのを覚えています。本のほかにも、カスティリオーニがデザインしたモノが置かれていました。
左が説明をしてくれた方です。この方が、カスティリオーニのつくったものを身振りや手ぶりを通じて、どんな風に使うのか教えてくれました。イタリア訛りの英語で結構聞きづらかったのですが、動きのおかげで何を伝えようとしているのかすぐにわかりました。また、多木さんの本も読んでいたので、カスティリオーニ本人もこんな風に身振り手振りを交えながら説明してくれたんだろうな、と説明員の方に、今は亡きカスティリオーニを重ねて話を聞いていました。
他にもプロトタイプを展示してある部屋などもあったのですが、撮影禁止で写真を撮れませんでした。僕がカスティリオーニのスタジオを訪れて大事だと思った点を3つ挙げます。
  • 収集
  • 動かす
  • 整理
スタジオには、カスティリオーニが収集したモノが所狭しとショーケースの中に並べられていました。カスティリオーニは、何かをデザインしようと思ったとき、まず既存のものを収集することから始めるんだなということが強く感じられました。はさみひとつをとっても50個以上は楽にあるはずです。
次に、収集したモノを動かす。モノを動かすことで、そのモノにはどんな意図が込められているのかを、使いながら読み解く。カスティリオーニのデザインを見て感じたことは、既存の動きの中で、自分の目標とする動きを達成しているものがあれば、彼は流用してデザインを完成させたんだなということです。自分が作ろうとしている動きをもった既存の製品がない場合には、自分で新しく作る。たぶん、そういうポリシーをもった人だと思います。
最後に、整理する。カスティリオーニの収集したモノは、整然とまとめられていました。僕の推測ですが、カスティリオーニは、自分の収集したモノを"動き"で整理していたのではないでしょうか。本人に聞いてみないと答えは出ませんが、僕はそう直感してます。
IDEOがやっている動詞で考える、ということをずっと前にカスティリオーニがやっていたのは、衝撃的でした。以上がカスティリオーニのスタジオの感想です。
予約が必要なのですが、8ユーロくらいで1時間見学できます。僕はイタリアにもう一回行く機会があったら、またぜひ寄りたいと思います。サローネを見に来たはずでしたが、僕にはサローネよりもインパクトのある見学ツアーでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿