2010年4月29日木曜日

デザインイノベーション特論 山崎和彦 4月28 日

  • 講義の概要
デザインの方法論は大きく分けて2つある。
  1. 問題解決型
  2. 未来提案型
デザインイノベーション特論では、未来を提案するデザイン手法を考えていく。未来を提案するといっても、何の手がかりもなしに考えることはできない。
優れたデザイナーの手法から、未来を提案するデザイン手法の手がかりを学んでいく。優れたデザイナーは、自分なりの手法を確立している。しかし、学生がそのマネをしても新しいデザインは生まれてこない。自分なりのやり方、自分流の方法論をもつことがデザイナーとして存在価値をもつことになってくる。企業にいて、採用にも携わった経験から、採用では必ずしも優秀な人をとるわけではない。今までにない視点を導入してくれる人を採用している。この講義では、優れたデザイナーの手法、アプローチを学んで、自分なりの手法を編み出す手がかりを与えようと思っている。

  • 講義のステップ
  1. 優れたデザイナーの手法や手がかりを知る
  2. 自分なりの手法の仮説を立てる
  3. その仮説を用いて、提案を考える
正しい手法というのは、ない。自分なりの手法を見つけることが大事。最終的には、自分なりの手法を用いて、企業へ提案を考え、その企業へプレゼンテーションしに行く。6/30に中間発表があり、そこで自分なりのデザイン手法を発表する。また、中間発表ではこれまで学んだことをまとめて発表する。

イノベーションは2つにわけられる。
  1. 技術イノベーション(新しい発明や技術のこと)
  2. デザインイノベーション(人間や社会に嬉しい新しい価値を提供すること)
  • デザインイノベーションのための5つのアプローチ
  1. 人間中心設計のアプローチ
  2. 魅力的な価値の追求
  3. 異分野のメンバーによるコラボレーション
  4. シナリオを活用したデザインプロセス
  5. 常にプロトタイプで確かめる
ここで、それぞれのアプローチに対して説明があった。下記の番号は上記のアプローチの番号に対応しています。
  1. 問題解決型に陥らないように注意しないといけない
  2. 満足には2種類あり、不満が解決されたときの当たり前の満足と、魅力的なことが起きたときの満足(昔のソニーには壊れやすいけど、新しい製品を買う熱狂的なファンの話も)
  3. 未来への提案をひとりで考えるのはムリ。アメリカでは、異文化がふれあった時に新しいものが生まれる。
  4. シナリオを描くと、誰にとってどんなメリットがあるのかわかりやすくなる。魅力を記述する手法としてのシナリオ。人とモノとの関係を時間軸で描くのがシナリオ
  5. 実際にユーザが触った感覚を大事にする。いくらスケッチを描いても、それからどんな感触が得られるかは触ってみないとわからない。だからプロトタイプをつくることが大事。また、デザイナーが陥りがちなのは、スタイリングを検証するためのプロトタイプをつくってしまうこと。プロトタイプを作るのは、ユーザに取ってどれだけ魅力的な価値があるかを確かめるためである。
僕が一番そのとおりだなと感じたのは、次の部分です。表面的な意見を聞くのは、問題解決の時は良い。 新しいものを提案する時は、ユーザの表面的な意見は聞かないで、本質的な価値を聞くようにする。ユーザのいいなりになってしまうと問題解決型のデザインになってしまう。ユーザは今あるデザインはわかるけど、未来のデザインはわからない。ただ、ユーザの未来に対しての価値観というのが理解できれば、未来への提案ができる。 イノベーションは、デザイナーが起こす。

  • 魅力的な価値の追求
ユーザは不満を解決されたら忘れてしまう。例えば、ドアがあけにくい時は、すごく覚えているけど、普通にあけられるようになってしまったときには、ユーザは忘れてしまう。魅力的な品質をつくっていけば、ユーザは忘れない。そして、魅力といっても普遍的な魅力と限定的な魅力があるのではないかと考えている。ヘンリームーアの彫刻は、30年前の人も美しいと思っただろうし、いまでも美しい。

  • スマイルデザイン
魅力的なデザインを生み出すには、どうしたらいいかという自分(山崎先生)なりの答えがスマイルデザイン。
  1. 感性からデザインしていくアプローチ(言語化しない。完全な直感からのアプローチ)
  2. 感性の表現から論理を読み取ろうとするアプローチ(これはデザインやアートの作品をみて自分なりに考えるくらいの意味だったはず)
  3. 感性を論理的に検討するアプローチ(感性工学や認知科学のエモーショナルデザインなど、学術的な分野からデザインを検討していく)


sketching user experiencesの話。著者は、プロトタイプという言葉が嫌い。スケッチするようにユーザエクスペリエンスを描くことが大事。bill buxtonはアメリカのGUIデザイナーとしてトップ10に入る人である。

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