2010年6月2日水曜日

デザインイノベーション特論 佐藤雅彦 6月2日

  • 佐藤雅彦さんとは
今日のデザインイノベーション特論では、佐藤雅彦さんを紹介する。佐藤さんはデザイナーでもないし、面識もないが、作品集を見ておもしろいとおもったので紹介する。デザインに興味があるけど、デザインできない。そんな人は多い。佐藤雅彦さんは、広告代理店という環境でデザイナーの作品に触れることが多かった。そのせいかわからないが、自分の好きなクリエイティブの作品に共通点があることに気づいた。31歳ではじめてクリエイティブ局へ編入。佐藤雅彦さんは電通クリエイティブ局に移動した最初の2年間まったく仕事がこなかった。その2年間で、世界中のCMを見て、おもしろいCMに共通するパターンを見いだした。佐藤さんは自分のセンスに自信がある人ではないので、世の中で受け入れられているCMを分析することで、センスの代わりにしようとした。
  • チャンスについて(山崎先生の話)
若い人に仕事を任せるときは、時間がない、お金がないから、とりあえず、若い人にデザインを任せることが多い。そのチャンスを掴めるかは、その人次第。研究も同じで、なんでその研究がいいのかを発見し、そのルールを自分の研究に生かすことが重要。
  • バザール・デ・ゴザール
物語は重要。バザール・デ・ゴザールは単なるキャラクターではない。物語を演出できる性格をもったキャラクターである。 人間を動かすには、共鳴させること。共鳴させるには、物語を使うこと。そして、物語には主人公が必要。 ゴール・ダイレクテッド・デザインも似た考えの手法である。アラン・クーパーが提唱した。山崎先生の視点からすると、バザール・デ・ゴザールとゴール・ダイレクテッド・デザインは似ている。 佐藤雅彦さんはバザール・デ・ゴザール、モルツとロングヒットなCMをつくる人だな。商品名の連呼だけでなく、他にもいろいろな手法を使っているはず。
  • なんでもやることの重要性
デザインを学んでいる学生は、自分の専門分野に閉じこもりがちだが、佐藤雅彦さんはCMをつくるためなら、作曲や絵コンテなどなんでもこなす。絵コンテには、絵だけでなく、音も表現されている。 紅茶のピコー、ドンタコスの紹介。90年代に商品名を連呼するCMを見たら、佐藤雅彦さんが手がけたものだと思った。
  • ルールとトーン
ルールは大事だが、ルールは出発点にすぎない。ディティールの完成度が作品のよさに影響している。 ルールの他に、トーンの重要性に気づいた。トーンというのは、出来上がりの感触というか感性に響く細かいものである。 地名には著作権がないことを生かした商品名や語尾のシズル感をいかした商品名などを考えた。 佐藤雅彦さんのように、いい研究論文をたくさん読むことで、自分なりのルールとトーンをつくり、それから研究を進めることで、いい研究テーマを見つけることができる。 人のつくった作品のルールを分析する作業ではなくて、自分でルールをつくる方にまわるため、電通を退社したのではないかと考えている。
  • 作品と意図
Play StationのIQをつくった。だんご三兄弟の作詞作曲を担当。ポンチキ、うごくID、日本のスイッチ... 佐藤雅彦は新しい手法とか考え方をつくる人。人とは違う手法を使う。そのことで人とは違うアウトプットを出す。砂浜という小説では、声で喋るだけで小説をつくった。 ICCでの展示に関する動画を見ている。自分のからだを変換してみよ展。 人と同じ手法を使えば、アウトプットが似てきてしまう。独自のアウトプットを出したいなら、人と違う手法を使わなければならない。 信号機の信号が変わるタイミングを視覚化したものや山手線のダイアグラム、サッカーのパスの方向、文字を書くときのペンの空間的な移動の軌跡...を見ている。 pro-gramという考えを用いた作品集。
  • 佐藤雅彦と山崎和彦の交差点
ほとんどのものには、ルールとトーンがある。 裏に隠れているルールをいかに見せるのか、ということを視覚化したのが、さきほど上映した佐藤雅彦さんの作品。情報デザインとも繋がってくる。 方法や手法を考える上でのヒント。何かデザインをするときには、デザインでどういう体験が得られるかということを考えていて、それがUser Experience もう一つは、モノから発想する。それはどんなモノなの? User Experienceとどんなモノかという考えの間で、Interactionが起きる。content←→form 人とモノの両方から見ることで、デザインが見えてくる。両方を繋ぐのがデザイン。 デザインというのは、目標のためのプロセスとメソッドである。目標がないなかで、プロセスとメソッドを教えても意味がない。どんなものをつくったらいいのかということがすごく大事で、難しい。

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