2010年5月19日水曜日

デザインイノベーション特論 5月19日 Edward Tufte

授業評価の説明。ブログかレポートに講義のまとめを書く。ブログに書いた方が評価を高くする。

Edward Tufteというデザイナーを紹介する。日本では、翻訳書が一冊もないが、アメリカではかなり有名なデザイナー。先生がタフテの講演会に5万円払って参加した話。200人くらいの大人数で、かなり大盛況だった。タフテの講演時間について質問。半日の講演。講演には本がついてくる。この講義では、デザイナーの生き方を紹介する。タフテは70歳くらいだが、4冊しか本を出していない。1冊に15年間くらい時間をかけて本を出している。その生き方がいいなと思っている。その本には、自分の作品はほとんど収録されていない。その本の一部を紹介したいと思う。

タフテはどういうことを中心にやっているかというと、印刷物や画面やコンピューターは二次元である。三次元のものが二次元になる。それが印刷物や画面のデザインである。その次元の変換について、タフテは詳しい。IBMにいたときに、タフテのコンサルティングを受けた話。山崎先生が30歳くらいのとき。そのときは、タフテの存在を全然知らなかった。タフテの存在を知ってからは、本を追っている。情報をどうわかりやすく表示するかの例が載っている本の紹介。ダイアグラム。いろんな情報をわかりやすく表現するには、我々の行動は3次元であるので、空間というのがあって、もう一つ時間軸というのがある。つまり、4つの軸が僕たちの生活にはある。コンピューターは時間軸を表現できるが、グラフィックデザインは時間軸を直接表現できる方法はない。

Envisioning Informationという本を例にTufteの考え方を紹介する。Escaping Flatland.平らな土地を避けて、大事なものは上に上げる。伝えたいものは、ピックアップすることが重要。この本には、5つのアプローチがある。Escaping Flatland, Micro/Macro Reading, Layering and Separation, Small Multiples, Color and Information, Narrative of Space and Time.

Escaping Flatlandから解説していく。日本の伊勢志摩に行くときの観光地図が例として本に載っている。その例を使って、先生が説明をしている。地図を使うユーザにとって重要な情報が載っている。それが、Escaping Flatlandの重要な考え方。Tシャツの模様や色をどう伝えるかに関しての表現。全体を俯瞰させる表現にすることで、自分の好みを再認識させる仕組み。

Micro/Macro Readingsとは、大きな情報と小さな情報を両方同時に見せる。ただ、通常は大きな情報と小さな情報は一緒に見せられないのが、通常。携帯電話を例に挙げて説明。携帯電話には階層があり、ミクロとマクロが一緒の情報として提供できていない。Webサイトも同様。Webサイトのパンくずリストの例。ミクロの情報とマクロの情報をつなぐための仕組みがパンくずリスト。マクロの情報とミクロの情報をどう両方を表現するかが、わかりやすくする鍵である。プロダクトや建築を例に、マクロとミクロの情報を説明。コピー機では、遠くからみるとコピー機のように感じられる雰囲気を出していることが重要で、近くにくるとどう操作するのかわかりやすく感じさせる(そして、実際尼僧である)ことが重要。ベトナム戦争、戦死者を一瞬でわからせる壁を例にマイクロ、マクロの関係を説明。マクロとマイクロの関係がわかりやすいと、感動を呼ぶデザインにつながることもある。

Layering and Separationについて、ひらがなの行書体の例。情報には、いろんな視点の情報をつくることができる。その別々な視点をうまく組み合わせることがとてもわかりやすい。手旗信号の例。人間の手をどう動かすかについての説明。人を黒に、動きを赤で説明していて、それがわかりやすい。

Small Multiples.小さいものがたくさんある方が比較しやすくてよいのではないか。ジェスチャーを用いた数量表現についての例。50万のジェスチャーだけをみても何がなんだかわからないが、前後を比較することで、意味が理解できる。世界の川を縦に並べた例。湖があるものは、一目してわかる。ユニクロの広告は、そういうところがある。たくさんのものを載せることで、見る人に好みを再認識させる。

Color and Information. 色を上手に使うことは、ユーザにわかりやすく情報を提供することにつながる。windows3.1の話。タフテと仕事をした。手前の木と奥の木。windowsでのwindowの話。手前のものはいろ鮮やかに、奥のものはモノトーンに。

Narrative of Space and Time. ダヴィンチの手帳の話。大きな絵を描かなくても、小さく落書きをすることで、わかりやすさに繋がっている。携帯電話のような小さなものを使うときに、Narrative of Space and Timeが役に立つ。情報に軸を加えることで、わかりやすくなる。時間、上下。この例の図は、世の中には存在しないグラフィックスだが、わかりやすくなってくる。地図というと俯瞰したものだととらえられがちだが、そこに情報を付与することでわかりやすさに繋がる。ナポレオンのモスクワ遠征のグラフィックスの例。時間が経過するごとに、兵士が減っている。兵士は、戦死した訳ではなく、気温の低さによって死んでいる兵士が多い。

堀江の感想:視点の重なり合うところに情報表現の面白さがあるかもしれない。

Tufteの自分の作品はほとんどない。彫刻の作品がある。森の中にアルミの板をたてると、光の反射などによって森の陰の情報がピックアップされる。Tufteのおもしろさは、三次元での事象を二次元でいかに表現するかを追求していたのに、二次元の表現を三次元に使っているのがおもしろい。

iPhoneの株価アプリを例に説明。全体像が見えないので、いいデザインではない。文章の中にちょっとだけグラッフィクスを入れることで、情報をわかりやすくする。iPhoneの株価アプリのよくないところは、ひとつの株価しか表示されないので、全体像がつかめないし、比較もできない。iPhoneの天気アプリの良くない点を指摘。日本列島の天気図を表示させることで、自分たちの天気を全体の中で位置づけることが可能になり、そうすることがわかりやすさに繋がっている。Tufteの動画を紹介。どんなおじさんかみてほしい。ニューヨークのメトロポリタン美術館での講演。

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