2010年5月27日木曜日

デザインコンセプト特別講義 5月26日 福田哲夫

  • 福田哲夫さんとは
N700系をデザインした福田哲夫さんの講演です。 ワークショップでは、スケッチをするみたいです。 産業技術大学院大学の福田哲夫さんの講義が始まります。N700系や自動車のデザインをされている方です。民営化してから鉄道のデザインを手がけている。皆さんのキャリアアップに役立つ話ができればと考えている。 途中スケッチを挟みながら、環境、サービスについて話していく。
  1. デザイナーとして
  2. 美しいカタチ
  3. 風・音・光
  4. 旅のしつらい
  5. まとめ
人は覚えたと思っても、すぐに忘れてしまうので、メモを取るようにした方がいい。STYLING×ENGINEERING=DESIGN 自動車会社でのデザインの話。本当に幅広い分野のデザインを手がけている。すごい人だ。 ATMコーナーをつくった話。ディスプレイデザイン賞をもらった。モノのデザインから社会システムまで。
  • 福田哲夫の歴史
自動車会社をやめたのは、自動車以外のデザインをやりたかったから。 実家が材木屋だったため、木に困ることはなかった。 フリーランスになって、すぐに第1次石油ショックが起きた。一気に世の中が冷えていった。そのような時代なので、全然仕事がなかった。排気ガスやゴミの分別などの環境に対する意識も今ほどではない時代だった。 そのころにマーケティングを勉強した。Appleやセブンイレブンの話。みなさんも興味があったら、いろんなところに首を突っ込んでみるといいです。 デザインの啓蒙活動を、環境と夢の大切さを説いている。 美しく魅力的なものづくりを通じて快適な暮らし 孫を見ていると原点が見えてくる。危ないものをつくっちゃいけないな、と。赤ちゃんは、カーペットとフローリングの境界線を繊細に意識している。赤ちゃんは、カーペットの上だけを上手に動く。 安全性から安心感へ 安全(工学系)→安心(感性系) 安全は工学系の人が使う。安心は感性領域でデザイナーの人が使う。 機能デザイン×感性デザイン TDO(Transportation Design Organization)
  • 鉄道デザイン
鉄道はいろんなパーツの集合体なので、一人ではデザインできない。異なる分野の人たちとコミュニケーションできるということが大事。 踊り子号のデザインの話。5種類の楽しみ方を用意した。 普通の車両デザインの5倍くらい労力がかかっている。 山形新幹線。この前ラストランだった。このときのコンセプトは、四季を写すようにシルバーのカラーを採用。くさび形では、騒音が発生する。有機的なカタチのB案では、騒音を減らすことができた。 どうしたらメンテナンスがよくなるかということを意識しながら、機構をデザインしている。そのときのプロジェクトでは、発言する立場ではなかったが、あえて提案した。他の案では、2本ピンを使用した。1本なら耐用年数が長くなる。 デザイナーは品質管理のために仕事をしている。材料、加工、組み立てを意識してデザインを考える。
  • 携帯電話
昔の携帯電話の話。デザインが毎年毎年小さくなっていく。 当時は、スライドや開くタイプなどの話ではなかった。携帯電話のサイズをいかに小さくできるかということを追求していた。 ゆくゆくはハンズフリーの時代がくるのではないかと、予想していた。この予想は20年前の話。デザイナーは未来を見据えながら、快適な生活を提案しないといけない。エンジニアからはつくれないといわれるが、デザイナーは夢を示すことが大事。 23,4のときに父が他界した。そのとき、人生はなんて短いのだろうと悟った。53,4で終わるかもしれないと考え、人生の計画を練った。 デザインは作法を促す バスの提案。中古のバスを改造して、外国人が東京へ来たときに安心して乗れるように工夫した。バスはたいてい真ん中に人がたまる。そこを思わず、後部座席から着座してしまうような仕掛けを考えた。 後ろの方に丸窓を用意している。そして、後ろの方へ行くほど広くなっている。そうすると人は、前の方にとどまらないし、後ろの方へ行く。 デザインはカタチが、人の作法を促すことは可能なんだと考えている。 普通の人たちのためにやらなきゃいけないことが、まだまだたくさんある。 FUKUDA TETSUO Designerなので、Dを入れて、 FUKUDA TETSUDO 要素積み上げ型→一体分割型
2. 美しいかたち
昔は枚数ではなく、重さでスケッチの量が量られていた。 N700系の話。空力の問題の話。難しいけど、すごくおもしろい。 流線型でも横揺れを防げなかった。それを飛行機の水平翼を応用することで、横揺れを防ぐことができた。 N700系の横揺れ問題を解決したことは、世界中の新幹線に影響を与えている。 Function+Function=Form→Form+Form=New Function くさび形のデザインと水平翼のかたちを組み合わせることで、新しい機能を生み出すことができた。 後から考えると、もっと自然に学ばなければならないなということを知った。 新幹線の先頭形状の設計用件の一部: 高速性、安全性、居住性、運用性、軽量化、環境性、乗心地、安定感、静粛性、審美性 これらすべてをクリアしたデザインを考えなければならない。先頭形状の最適化: 在来工法では約700個の部品。新しい工法では、38個の部品。 Appleのアルミの削りだしについては、飛行機ではすでにやっているし、スペースシャトルでは、さらに前からやっている。 高速車両は、鳥類の頭蓋骨に似ている。
3.風・音・光
新幹線のデザインコンセプト 世界の鉄道は、有機的複合形態へ。単純なくさび形は終焉している。 学部生のプレゼンでは、何となく好きだからといった感覚的なものが多いが、論理的に説得しないと子供のお絵描きと変わらない。 すごすぎる。福田哲夫さん。ロジックと感性、デザインとエンジニアリングとコストのすべてを包括している。 あえて、わずかなRをつけて壁をデザインした。直線の壁だとコストが安くすむが、ユーザのことを考えて、あえて直線ではないデザインにした。 技術をリードするデザイン。 スタイリングのためのデザインはいっさいなく、すべてなんらかのFunctionを備えたデザインになっている。
4. 旅のしつらい
マイナスの要因をプラスに変えていく。飛行機でのサービスの話。新幹線は、マイナス要因をプラスに変えられていない。 紙コップよりは陶器のカップで飲むコーヒーの方がおいしい。しかし、陶器のカップは重たくて飛行機に積み込めない。そこを解決するのが、デザインの役割です。
5. まとめ
常に未来を見ながら、新しい価値を創造していく。それが皆さんの役割です。ひとりのひらめきを、みんなのときめきへ。講演は終わり、次はペットボトルのスケッチのワークショップです。日々の生活で疑問をもつこと、情報発信すること、すべての前提として好奇心旺盛さがある気がする。いろんな人にたくさん会うことで学べることがある。本を読むことも大事だけど、体感することが大事。

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