2010年5月20日木曜日

デザインコンセプト特別講義 5月19日 中川聡

トライポッド中川さんの講演。昨日までニューヨークにいた。ニューヨークのクーパーヒューイットの院での話をしたい。
design for the other 90% Why design now?
クーパーヒューイットはデザインのミュージアム。Design revolutionという本の紹介。今のデザインは都市型の人しか焦点に入れていない。
design revolution road show 来年台湾で実施する。
ユニバーサルデザインは新しいフィールドへ。ソーシャルイノベーション。
いま韓国のデザインのレベルが上がっている。東大の中川さんのデザインサークルは100人集まった。デザインユニットを来年実施する。takram田川さんも排出されたし、東大の先端デザインをのばしたい。
建築家のデザインはディテールまで徹底してつめてくる。デザインには、そういうことが大事。東大生でも教えればデザインをできるのだなと実感。カタチからつくるのは大事。地域に80人くらいのクラフトのチームをつくっている。メリーランド大学のデザインは聞いたことがなかったが、とてもデザインがよかった。東大に招待したいと思っている。メリーランドのデザインは、建築系の作品。竹や廃材を利用したとてもユニークなデザイン。ロシアのサントペテルス大学。最近、中国とロシアがすごい。いま、アメリカはニュースタイルキュービックが流行っている。折り紙風のデザインが流行っていた。マテリアルコネクション。材料による発想も最近はとても重要になってきている。中川さんは自分の拠点をNYに移そうと考えている。東大以外の大学でこの話をするのは初めて。

五感から発想するデザイン
USTやtwitterを用いて、実施した。デザイン・イノベーションのエンジン。東大も千葉工大も美大とは違うアプローチで、デザインに挑戦しなければいけない。東大は、d.schoolをマネてi.schoolをつくった。
iPadの紹介。プレゼンテーションに使っている。同期させることで、プレゼンで使える。iPadはスピード感が違う。レイテンシがほとんどない。ユニバーサルデザインと五感。東大でやり始めたことを紹介。人間はみな個性を持ち、非常に多様なグループとして存在するのである。Unexpexted designという本をいま書いている。日米で発売する。顕在化された使いにくさtangible 潜在化された使いにくさIntangible.潜在化された使いにくさが重要。五感とリードユーザー。リードユーザーとは、都合の悪いユーザー。高齢社会というのは多様な個性が生まれる時代。普通の人は五感が偏っている。全く目の見えない人に対して車のリサーチをした。ドイツの車に乗った後に、目の見えない人が車の天頂の高さが3.4cm低いことを指摘。共感覚と繋がってくる。いままでに絶対あり得ないリソースの出し方を今日は教えます。Hypothesize.気づきから見立て。連携と置換。ホメオスタシス。見た目からイメージできる触覚の感覚。さっきのマテリアルコンプレックスもそういう文脈でとらえないといけない。オノマトペ。いままでの評価は数値的な評価に偏っていた。映像、言語、数値による尺度でやれるのではないかと考えている。日本と韓国しかザラザラという言葉はない。中国やアメリカには、ザラザラの質感を表現する言葉がない。物をたたく音は、4つか5つに収斂される。
今日は、音をテーマに学生らしさを生かしてワークショップに取り組んでほしい。よくある日本のイメージに基づいて考えてはいけない。古池や 蛙飛び込む 水の音 この俳句から受ける音のイメージは何なのか。ポチャン、チャッポンの2つに大別される。俳句から受けるイメージが自分の個性。そこはすごく大事。オノマトペ 形象擬態 擬音語 音が発する音を字句で模倣したもの、擬態語 状態や感情などの音を発しないものを字句で模倣したもの日本語の言語学的な特徴 日本語は世界でもまれな母音で判断する言語である。母音は子音に比べて周波数が低く、日本語はほかの言語より低い周波数帯で聞き分けている特徴がある。

ここからワークショップに入る。
マーケティングと製品進化。鼻はもっとも退化した器官。その鼻でとらえるからリアリティが感じられる。音のワークショップ。iPadは何が違うのか企業の人と話した。あの重さのデバイスは普通の人は持ち運ばない。これを持ち運ばせようとする発想はマーケティングの人間にはできない。アメリカでは、iPadは予約をしなくても買える。ソフトバンクのプロモーションは最悪。若い人しかターゲットにしていない。高齢者に売り込まないなんてバカげている。このサイズのものは携行しないだろう。iPhoneつくったのに、その大きくなった版は持ち運ばないだろう。デジタルカメラになってから、押しても反応がないのがいや。ワークショップ。一眼レフのシャッター音だけ聞いて、ブランド名を当ててください。いまから5種類の音を聞かせる。一眼レフのシャッター音はデジタルでつくられている。東大で色やカタチだけではなく、音や雰囲気もデザインに入る。人間工学や感性工学的な部分に着目しなければいけない。なんでこのワークショップをしたかというと、耳は使っているようで実は使えていない。ブランド価値とは、当たり前の保証、お約束の実現、スゴイの提案。期待学をやっているのは、それが理由。音とデザインの進化。何もオタクになっていないの、中途半端が一番困る。昔はアメリカもヨーロッパも紙で封筒を飛ばした。その音がMacのメールにも使われている。いろはすを縮ませる音。あの音はあまり好きではない。どうにか変えたかったが、あの薄さでは仕方がない。音のデザイン。設計。サイン音 わかりやすく覚えやすい、計画的につくられた音。ノイズ 使用する上で出てしまう 想定外の音。ノイズによってサービス印象を低くなってしまう。想定外の音を計画的にデザインすることで製品の魅力を生み出す武器にする。カメラのシャッター音、車のドアの開閉音、ゴルフクラブのショット音は、昔はノイズでしかなかった。しかし、音をデザインすることで、新しい価値を生み出すことに成功した。サウジアラビアの人が日本車のシートの革に匂いがしないので、不満を持っていた。日本人は臭いを消すことに躍起になる。音像を検証する。水の音はねっとりしている。天ぷらを揚げている音にも似ている。カメラのモード変更のダイアログの音はよくない。また、夜暗くなるときに、ダイアログが光るデザインになっていない。何かものを確かめるときは、人間はたたく。音像と期待値ボタンの質感によって、想像される音が違う。

東大生に素材のにおいを嗅がせて、ソファをデザインするということもやらせている。素材の匂いからフォルムを発想する。その発想がすごい。針金とペンチ、はさみを渡された。まず、音を聴いて、思い浮かぶ形を描くワークショップ。ライトブレインスマイル。音から思い浮かべるイメージが多様なグループに分けられる。笑うときは、右脳がくすぐられている。音からデザインを発想するのは、訓練すれば誰でもできる。東大生はデザインに対するコンプレックスが強い。東大生は美大のようにきれいなデッサンをするのではなく、自分独自のデッサンをする。全員でやると絶対同じものはでないが、似たようなものは出てくる。
音からイメージした絵をみんなで見せ合う。大事なことは自分のフォルムを見つけること。中川さんは造形心理学でph.Dをとった。左手で描いてみることが大事。また、行き詰まったときは、音楽を聴きながらスケッチすることで発想が生まれる。音楽を聴いたイメージを針金を用いて、表現するワークショップ。会場はこんな雰囲気です。 http://yfrog.com/3w94dj 音楽を聴いた、そのイメージを言葉で説明できることが重要。屁理屈でも音楽の印象を言葉で説明できるようになるといい。
中川さんが代表を務めるトライポッドデザインのウェブサイト。 http://tripoddesign.com/jp/home/index.html 音楽から発想する針金ワークショップのアウトプットを見せ合っています。ベートーベンの運命を聞いての僕の針金デザイン。 http://yfrog.com/jcugcj 規則的に拡散していくリズムを三角形を用いて表現して、最終的には一つに収斂しそうなイメージを針金で表現しました。中川さんの発想の源泉が知りたい。音楽を聴いて照明をデザインする。頭で考えると、構造的になる。
ワークショップ第2部 シナリオビルディング
友達と話をしているとどんどんテーマがかわる。いまから7枚の写真を見せる。気がついたことを書く。コンテクストのビルディングをする。書き出して、KJ法でわけてもいい。リンゴの写真と青虫の写真。この2枚の写真を見て、シナリオをつくる。コンテクストを示すとシナリオをつくるのが人間。とにかく大事なことはシナリオをビルディングすること。自身のパラダイム×共奏する(グループダイナミクス)。いまから7枚の写真を配る。そのシナリオを書いて、最後に発表する。この絵をみながら、自分で思いつく単語を5つ挙げる。 http://yfrog.com/1avlkmj いま、シナリオの発表会。妄想爆発のサスペンス仕立てのシナリオを発表中。こんなに楽しいワークショップは初めてだ。こういうシナリオは普段では絶対あり得ないシチュエーションなんだけど、それを意図的につくりだす。エクストリームなコンテクストをつくり出すことがデザインのインスピレーションに繋がると考えている。シナリオビルディングというかグループワークのときの注意点。最初からみんなで話し合うのはダメ。まず、ひとりで考えて、それから意見を交換する。シナリオビルディングでは、意見の同じところと違うところを探る。同じところは順当な解釈なので、違うところに着目し、シナリオを構築する。

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